福岡高等裁判所宮崎支部 昭和29年(う)418号 判決
刑法第四五条にいう確定裁判のうちには刑につき執行猶予の言渡を受けて確定した裁判がその後同法第二七条により刑の言渡がその効力を失つた場合をも含まれるものと解するのを相当とする。何となれば刑法第二七条は単に刑の言渡の効力そのものの消滅を規定したにとゞまり刑の言渡のあつた客観的事実までも消滅することを規定したものではないからである。そこで本件記録についてみると被告人が昭和二八年五月二三日公職選挙法違反の罪により懲役三月一年間執行猶予の言渡を受け同判決は同年六月六日確定し被告人は右執行猶予の言渡を取消さるゝことなくして猶予の期間を経過し刑の言渡はその効力を失つたものであり、原判示第一、第二の罪は右裁判確定前に犯したものであることが認められ原判決がこれに対して刑法第四五条後段第五〇条を適用して更に裁判をなしたことは前説明の理由により相当であつて右判決には所論の点について何等法律の適用を誤つた違法はないから、論旨は理由がない。
(裁判長判事 甲斐寿雄 判事 二見虎雄 判事 長友文士)